ゲイ客室乗務員Sabuの奮闘記

Sabuの連載


15年前のフランクも覚えている話

フライトの出来事を話して欲しいという要望を頂いたので今回書きます。
全て書き込んだら、卒業論文では済まない程だけど?
ってか、もう21年飛んでいるから、図書館で、子供に読み語りをする程になるかねえ?

まあ、これはその中でもフランクに話して笑ってくれた話の一つ。
15年程前の話なのに、未だに鮮明に覚えていて、フランクはまだ覚えているそうで?

パンよパン!

アメリカー日本の国際線はジャンボなので、機内の通路も二つ。
私はその日は左側のエコノミーの通路を担当で。
で、右側のクルーから呼ばれて、行ってみたら日本人のオバサマがクレームしてて?
東海岸に住んでいて、娘と日本に里帰りとの事。

娘は私と同じ程の年齢で、オバサマは私の母くらい?
「何でしょうか?」って尋ねたら、
いきなり食事のトレーにのっていたパンをつかんで、
「あなたね!これ日本に行くのよ!それがパンよパン!」って言われたの。

また、パンよ!

何て応答して良いか分からず、「は?」って答えたら、
「また、パンよ!」だって。

メニューの内容は覚えていないけど、メインに肉類と野菜、サラダに前菜とデザートとパンだったと思うけど。
日本からの便ではメインに肉類とご飯、同じくサラダに前菜とデザートとパンがのっているのは覚えていたので、
「帰りの便はちゃんとご飯ものっていますよ」って返答したの。

そしたらまた、「日本に行くのにパンよ!」って言われて…
「は?」の状態になってしまった。
続けて「日本語を話す乗務員もいないし」って言うので、
自然と自分に指差して、「いるじゃないですか、ここに」って返答した。

「あなただけ?」って言われて

そしたら、「あなただけ?」って言われて。
他の会社は知らないけど、うちでは日本は勿論、アジア、ヨーロッパ、南アメリカなど、飛ぶ国によって、その国の言葉を話す乗務員を乗せてます。
うちでは契約上2人だったので、「もう一人いますけど?」って返答したら、
「これ日本に行くのよ!何で皆日本語話さないのよ!日本人のクルーだけをこの便に乗せるべきよ!」だって。

確かに日本人の観光のお客様に対しては日本語を話すクルーが対応するのが便利?
でもいつもいつも日本人の観光客でもないし、日本人のお客が乗っていない時だってあるし?
しかもこのオバサマ西海岸に住んでいて、アメリカの法律とか知っているでしょうに?

思わず、「これアメリカの航空会社ですよ!しかも日本人ばかりを雇って乗務させるなんて、違法だし、アメリカに住んでいるならご存知でしょう?」って返答に、
「それはそうだけどー」とオバサマは言ったの。
終われば良かった。その後に、「でも可愛いクルーも乗っていないし。」だって!

Sabuはブチ切れ

その一言で、Sabuはブチ切れ!
右側の通路で働いていたクルー達は、日本人ではなかったけど、別にみすぼらしい訳でもなく?

次の瞬間私の口から自然と、、、
「失礼ですけど、我々モデルじゃないんですよ!どんなに可愛くったって、手とか脚とか無ければ、お客様にサービス出来ないでしょう?
荷物のお手伝いも、緊急時にドアすら開けられないでしょう?可愛いクルーがお望みなら、航空会社を間違えてますね!」
出て来てしまって。

もっと文句を言って来るかと思ったら、「そうよねえ」の返答。

最後に…

そのオバサマは納得したかと思うと、次は私個人への質問へ!
年齢、学歴、どれだけ飛んでいるのかとか、年収まで。

攻撃的な態度から、全く逆の雰囲気に変わっていて、ふと隣をみたら、私と似た様な年齢の娘が静かに座っていて。
「ご結婚は?」って聞かれた時には、
「(ぎゃー!)仕事があるので失礼します」って逃げた。
口は災いの元っ て言うけど、私はつい、一言多くって言ってしまうみたいで?

でも黙っていられない。もう治らないよねこの性格。
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